●人事権とは
人事権とは、採用や配置、人事考課、異動、昇格、降格、解雇等について、広く会社に認められた権限です。
しかし、人事権がいくら広く認められるからといって、社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用に当たる場合は違法となります。
たとえば、不当な動機や目的をもって行われた人事異動。
これはアウト!です。
裁判例
ある銀行で総務課長をしていたベテラン社員(男性)を降格し、さらに、通常は20代前半の女性契約社員が担当していた受付業務へ配転させましたが、裁判所は「受付業務への配転は、人格権を侵害し、職場内・外で孤立させ、勤労意欲を失わせ、やがて退職に追いやる意図をもってなされたものであり、銀行に許された裁量権の範囲を逸脱した違法なものである」として、慰謝料100万円を命じています。
このような人事異動は、「パワハラの6つの類型」のうちの「過小な要求」に当たります。
「過小な要求」とは、「業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事(1日中草むしりをさせる等)を命じることや仕事を与えないこと」とされています。
しかし、程度の低い仕事を命じれば、すべて違法となるかというと、そうではありません。
あくまで、「業務の適正な範囲を超えた命令」が違法となります。
ですから、個別の事例ごとに、違法かどうか判断していくことになります。
しかし、裁判例のように、明らかに不当な目的の、見せしめ的な配転であれば、問答無用でアウト!です。
裁判所は、卑怯者には厳しく対応しますので、このような裁判を起こされて負けたら会社の信用は一気に失墜します。
絶対に不当な動機や目的を持った卑怯な配転などを行わないでください。
いくらいろいろな理由を並べても、裁判所に見破られて、裁判費用と弁護士費用をかけたことが無駄になります。
いいづか社労士・FPオフィス
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